年越しそばの歴史的な成り立ち

年越しそば by 結城永人

年越しそばとは大晦日に食べるそばのことで、日本を代表する伝統的な食文化の一つです。その歴史に様々な説がありますが、最も古いものは鎌倉時代まで遡ります。鎌倉時代年越しそばの鎌倉時代の起源は福岡県福岡市博多区博多駅前の承天寺に由来する世直し（福そば／運そば）の伝説にあります。承天寺の世直しそば当時、謝国明という南宋の商人が承天寺で、大晦日に貧しい人が新年を無事に迎えられないことを嘆き、粥の餅（餅のような蕎麦がき）を振る舞うと食べた人は翌年から福に恵まれたことから地元の博多では年越し蕎麦を福そばや運そばと呼び、後に年越しそばの起源となりました。承天寺は円爾（弁円／聖一国師）が開きましたが、彼の南宋への渡航を助けたのが謝国明だったため、双方に深い繋がりがありました。円爾は水磨という水車による製粉技術を持ち帰り、承天寺には饂飩蕎麦発祥之地（うどんそば発祥の地）の碑も建てられています。なので年越しそばの起源がそれ以前にあった可能性は考えにくいです。そばが日本で見られたのは縄文時代から、栽培されたのは古墳時代からとされます。現在のようなそば切りによる麺状のそばが出回ったのは江戸時代からとされ、それ以前は実のままのそば米か実を砕いて湯で捏ねたそばがきという食べ方が主流でした。江戸時代江戸時代から大晦日にそばを食べる風習が広まったのは文献から確実視されており、最も早いものとして中期の三十日蕎麦（みそかそば）の習慣が挙げられます。商家の三十日蕎麦当時、商家では毎月末にそばを食べる三十日蕎麦という習慣があり、ここから大晦日に行われるものが年越しそばになったと考えられています。三十日蕎麦は江戸の商人が縁起を担いで行っていました。そばは細くて長いということから身代（家の財産）が同じように長く続くことを願ったためです。また、脚気が江戸煩いとして流行しており、そばを食べると治る――脚気の回復に必要なビタミンB1がそばには多く含まれています――という説もあってそばは江戸で注目されたようです。三十日蕎麦は今でも毎月最終日（晦日）がそばの日とされる由来にもなっています。その他の理由年越しそばを食べる理由には諸説あります。たとえばそばは細く長く伸びることから長寿や無病息災や開運を願うため、また、そばの切れやすさからその年の苦労や厄災を断ち切るため、さらに当時の金銀細工師が散らばった金粉を集めるときにそば粉をこねたものを使うことにあやかり、金運が上がるためなどがあります。

年越しそばの歴史的な成り立ち

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