おせち料理の中身の種類毎の意味

おせち料理は新年の始まりを祝うための料理です。地域によって構成や食材に違いがありますが、大きく分けると祝い肴と焼き物と酢の物と煮物の4つから構成されます。祝い肴結城永人の『おせち料理』

おせち料理 by 結城永人

祝い肴は子孫繁栄や不老長寿や五穀豊穣を願ったおせち料理に欠かせない基本料理です。おせち料理はお屠蘇（正月の祝い酒）と共に出されるのが通例です。お屠蘇に対して求められる酒の肴が祝い肴となります。黒豆と数の子と田作り／ごまめ（関東）か叩き牛蒡（関西）が祝い肴三種（三つ肴）と呼ばれる代表的なもの、その他は口取りと呼ばれる一般的なものです。重詰め祝い肴は三段重か四段重ならば壱の重（一段目）、五段重ならば壱の重（一段目）に祝い肴三種と弐の重（二段目）に口取りを入れることが多いです。種類黒豆黒豆は黒が中国の道教において邪除けを意味します。黒く日焼けするほど達者に、また、豆の「まめ」がまめに通じてよく働けることを意味し、邪気を払って長寿と健康を願います。数の子数の子は卵の数が非常に多いことと親魚のニシンの音の「にしん」が二親の漢字を当てられることから子孫繁栄と両親健在を願います。田作り／ごまめ田作り／ごまめの田作りはカタクチイワシを田の肥料に使うと五万俵の米が収穫できたこと、ごまめはそうした五万米であり、五穀豊穣を願います。叩き牛蒡叩き牛蒡は豊年の象徴の黒い瑞鳥を表したもので、豊作と息災を願います。また、軟らかく煮たごぼうを叩き、開いて調理することから開きごぼうとも呼ばれ、開運を願います。紅白かまぼこ紅白かまほこは半円の形状が初日の出の形に似ることから正月料理に用いられます。紅は目出度さや魔除け、白は神聖さや清浄を意味しており、何れも縁起が良いとされます。伊達巻伊達巻は江戸時代の伊達者というお洒落な若者の着物の柄から名付けられ、見た目の華やかさが正月向きで、巻物に似た形から文化や学問や教養を持つことを願います。搗ち栗／栗金団搗ち栗は「かち」が勝ちに通じる縁起物です。金団は金色の団子という意味で、金銀財宝に通じ、金運や豊かな一年を願います。焼き物焼き物はおせち料理の主体となる料理です。縁起の良い海産物のブリや鯛や海老などから構成されます。重詰め焼き物は三段重か四段重ならば弐の重（二段目）、五段重ならば参の重（三段目）に入れることが多いです。種類ブリの焼き物鰤は出世魚であることから出世を願います。新潟県など、同じ意味で塩引き鮭が使われる地域もあります。鯛の焼き物鯛は「たい」が目出度いに通じる縁起物です。海老の焼き物海老はひげが長く腰が曲がっている様子から長寿、脱皮を繰り返すことが生命の更新を意味して出世を願います。さらに海老の朱色の晴れやかさや目が飛び出してる様子の目出度さなどから縁起物とされます。鰻の焼き物鰻は物事が上々に進むときの鰻登りという表現にあやかって出世を願います。松風焼き／のし鶏松風焼き／のし鶏は表面だけケシの実をまぶし、裏面は何もない状態であることから隠し事のない正直な生き方を願います。酢の物酢の物はさっぱりとした味わいの料理で、他の料理の間に食べてそれぞれの味を切り離すことができます。口代わりと呼ばれます。重詰め酢の物は三段重ならば弐の重（二段目）、四段重ならば参の重か肆の重（三段目か四段目）、五段重ならば参の重（五段目を使わない場合は鉢肴として三段目）か伍の重（五段目を使う場合は酢の物として五段面）に入れることが多いです。種類紅白なます紅白なますは祝い事に用いる紅白の水引にあやかり、平和な生活を願います。また、人参と大根が根を張ることから土台をしっかりとして家が栄えることを願います。ちょろぎちょろぎは和名で「長老木」や「千代呂木」や「長老喜」や「長呂貴」といった目出度い漢字を当てられるため、長寿を願います。酢蓮根／酢蓮酢蓮根／酢蓮は仏教で極楽浄土に咲く花とされる蓮の花の地下茎の蓮根を使っているため、けがれのない清らかさを示すものと尊ばれます。穴が幾つも開いているため、将来の見通しが利くという意味の縁起物です。また、種が多いことから子孫繁栄を願います。菊花かぶ菊花かぶは祝い事によく使われて邪気を払うとされる菊を見立てており、長寿を願います。煮物煮物は色んな食材を一緒に纏めて調理することから家族が仲良く暮らせる、また末永く繁栄するという意味が込められています。重詰め煮物は三段重か四段重ならば参の重（三段目）か肆の重（四段目）、五段重ならば肆の重（四段目）に入れることが多いです。種類昆布巻き昆布巻きは「こぶ」が喜ぶに通じる縁起物です。喜ぶを養老昆布とすると長寿の願いです。その他、昆布は広布（ひろめ）で末広がりの繁栄、寿布（えびすめ）で福の神の恵比寿様の開運、子生婦（こんぶ）で子を生む繁栄、幸運夫（こんぶ）で明るい未来の開運など、さまざまな縁起物として扱われます。また、昆布巻きは巻物に似た形から文化や学問や教養を持つことを願います。陣笠椎茸陣笠椎茸はかつて下級兵士が兜の代わりに被っていた陣笠に似た形状から壮健を願います。楯豆腐楯豆腐は高野豆腐に焼き目を付けて盾に見立てることから邪気を防ぎ、災難から守ると受け取られ、家内安全を願います。手綱こんにゃく手綱こんにゃくはこんにゃくを手綱に見立てることから心を引き締め、自らを厳しく律し、来るべき物事に良く備えるという意味で、尊ばれます。また、結び目のような形から縁を結ぶものとして円満や良縁を想起させる縁起物です。芽出しくわい芽出しくわいは大きな芽が一本出ることが目出度いという縁起物です。また、芽が出ることが出世祈願、黄色に着色することが金運上昇に繋がります。花蓮根花蓮根は仏教で極楽浄土に咲く花とされる蓮の花の地下茎の蓮根がけがれのない清らかさを示すものとして有り難みを持ちます。多くの穴が将来の見通しが利くという意味の縁起物、種が多いことが子孫繁栄の願いになります。矢羽根蓮根矢羽根蓮根は蓮根を破魔矢（正月の縁起物や神具として神社や寺院で授与される矢）の矢羽根を見立てて作られることから縁起物とされます。八ツ頭八ツ頭は親芋と小芋と孫芋が連なる里芋の子孫繁栄の願いがあり、それ自体として親芋と多くの子小芋が分かれずにくっ付いている様子から大きな頭（長）になるという出世の願い、そして名前の八も末広がりの繁栄を示す縁起物になります。たけのこたけのこは天に向かって真っ直ぐ伸びて速やかに成長することから立身出世を願います。梅花人参梅花にんじんは花が咲くと必ず実を結ぶことから縁起物とされる梅の花をあしらったものです。また、人参の赤は寿を表し、縁起が良いとされます。金柑金柑は金が富を表すことや「きんかん」が金冠に通じることから金運上昇を願います。そして木に沢山の実を付ける様子から子孫繁栄を願います。まとめおせち料理は新年の始まりを祝うための特別な料理です。地域によって構成や食材に違いはありますが、それぞれに縁起の良い意味が込められています。家族や親戚と一緒に縁起の良い食材を食べて幸せな新年を迎えましょう。